総務統括部 総務部 安全衛生管理課
課長 近藤 友保 様
三浦工業株式会社 様
事業内容
ボイラ・水処理機器・食品機器・減菌器・薬品等の製造販売、
メンテナンス、環境計量証明業等
従業員数
単独3,332名、連結6,059名(2024年3月31日時点)
「熱・水・環境の分野で、環境に優しい社会、きれいで快適な生活の創造に貢献します」を企業理念にボイラをはじめ、食品機械、メディカル機器や舶用機器などの幅広い分野で事業を展開するミウラグループ。総務部安全衛生管理課では、社員がそれぞれのミッションを安心して遂行していくため「安全と健康」が大きな土台になると考え、安全意識の向上と健康経営を推進。熱中症の分野で抜本的な対策に取り組むべく2024年初めてカナリアを導入しました。その詳しい背景や初年度の効果について安全衛生管理課の近藤様にお話をお伺いしてきました。
「最も働きがいのある、働きやすい職場」へ
向けた対策
熱中症対策に本腰を入れて取り組むようになったきっかけを教えてください。
ボイラが稼働しているボイラ室内は蒸し暑く、40℃~50℃くらいになります。また製造工場の現場では溶接作業など非常に暑くなる現場もあります。ファン付きウェアを着ていても、外気温が高ければウェア内を暖かい空気が循環することになり、熱中症対策として逆効果になりかねない。熱中症による労災は過去にも年に数件発生しており、パートナー企業の方が重篤な状態に陥ったケースもあります。弊社は「最も働きがいのある、最も働きやすい職場にしよう」をモットーに、社員のことを考える会社を目指しています。そのために、社員の安全は切っても切り離せません。ですので、この経験を踏まえ、本格的に熱中症防止対策を強化する動きが加速しました。
カナリアの導入を決めた理由を教えてください。
いままでも、夏季は社員証をかざすと1日4本まで無料で飲料を取り出せる自販機を設置したり、製造工場では1時間ごとにチャイムを鳴らし、水分・塩分補給を促したりと、熱中症対策を講じてきました。けれど、作業に集中すると危機管理の意識が薄れがちです。
さらに当社ではボイラの製造工場で働く社員だけでなく、お客様の現場では施工やメンテナンスを行う約1,200名の社員が作業に従事しています。従来の対策では全員に予防措置を徹底することが難しく、どうしても本人の判断に頼らざるを得ない部分がありました。
カナリアはひと夏の間、連続動作するため充電が不要です。20代から60代まで幅広い世代が作業する現場でも、初期設定が不要で誰でも簡単に使えるため、浸透しやすいと考えました。また、小型・軽量で作業の邪魔にならない点も魅力でした。
何より、本人の感覚や経験則に頼るのではなく、深部体温の変化を基に客観的に異常を検知し、リスクを知らせてくれる点が安全管理上有効だと判断し、導入を決めました。
自身の感覚よりも正確に危険を
知らせてくれるカナリア
カナリアを導入してどのような効果がありましたか?
2024年は導入初年度ということもあり、作業者の半数程度を対象にカナリアを配布しました。カナリアを付けていない部門の熱中症発症数が2件あったのに対して、カナリアを装着している部門では発症数がゼロという明確な差が見られました。アラームが鳴った作業者からは、「キツいと思っていないときにもアラームが鳴る」というフィードバックもありました。しかし、深部体温と体感には乖離があることを考慮すると、これは本人が気づかないうちに危険なレベルに至っていたことをお知らせしてくれた結果だと捉えています。カナリアのようなデジタル技術を活用した対策の必要性は今後ますます高まっていくように思います。
全員にカナリア配布、
データを活用した意識づけも視野に
2024年度は希望制でカナリアを配布していたため、導入規模は全体の半数程度に留まりました。しかし、今後も夏の気温上昇は避けられないことから、2025年度は作業者全員に配布することに決まりました。全員に配布する必要性については社内で意見が分かれましたが「熱中症は対策が後手に回ると取り返しのつかないことになる。作業者の安全を最優先に考えるべき」という経営側の強い想いが後押しとなりました。
初年度のデータを分析していただいた結果、アラーム後の休憩取得をデバイスの運用ルールとして確立できているかどうかで、リスク低減にかかる時間に使用現場ごとの差が生じていることが判明しました。そのため、今後は「深部体温と体感にズレがある」ことを教育し、作業者の理解を深めるとともに、アラーム後の休憩取得を徹底していく方針です。
まとめ
年々気温が上昇する中、現場の状況を真摯に受け止め、カナリアの導入に踏み切った三浦工業。その根底には、社員の命を最優先に働きやすい職場を実現したいという経営陣の強い想いがありました。「人」ありきで事業を考えられる会社だからこそ、改善のためのアクションをしっかり実行できるのだと思います。
同社は2024年がカナリア導入開始年でしたが、導入数の拡大やデータ活用の可能性から今後も徹底した対策を講じていくであろうことが伺えます。