JFEプラントエンジ株式会社 様
事業内容
製鉄所を中心とした設備・建築物の開発、
設計、施工、メンテナンス
従業員数
3,707名(2024年3月31日時点)
鉄鋼会社の製鉄所を中心に、設備のメンテナンスや建築物の開発・施工を手掛けるJFEプラントエンジ。製鉄所内は特に酷暑環境であるため、従来のWBGT低減対策では限界を感じていました。そこで、2020年から個人ごとの熱中症リスクを検知できるカナリアの試験運用を開始。導入に際し、安全衛生部の高橋様、西野様、松井様、髙木様に信頼性評価や安全性と生産性の両立についてお話を伺いました。
早期からWBGTを導入するも
個人差のある熱中症リスクに対応しきれない課題
熱中症対策に本腰を入れて取り組むようになったきっかけを教えてください。
弊社の作業現場では、高炉などの熱源設備や、溶接・溶断といった火気を取り扱う作業があるため、一般的な製造業や建設業と比べて高温環境が常態化しています。2005年頃から厚生労働省が熱中症対策の重要性を訴え始めましたが、弊社ではそれに先駆け、2000年代初頭からWBGTを活用した環境管理を導入してきました。しかし、近年の酷暑の影響も加わり、従来の対策では防ぎきれないケースが出てきていました。
工場内では、地下のピットや天井付近が非常に暑く、屋外の方が涼しく感じることもあります。
定期的に休憩を取るようにしているものの、それでも体調を崩してしまう方がいるのが現状です。
これまで、スポットクーラーやクーラー付き休憩車の導入、ファン付きウェアの貸与など、さまざまな暑熱対策を講じてきました。しかし、製鉄所内を日々移動しながら作業するため、大規模な設備を導入して暑さを軽減することは難しく、また、熱源からの距離によって暑さの程度が異なるため、一律の対策では対応しきれない課題がありました。弊社の現場では毎日2万人近くが働いており、それぞれの作業環境が異なります。また、熱中症は個々の体調や耐性による影響が大きいため、環境管理・作業管理だけでなく、個人の状況に合わせた対応が求められていました。
そのような状況下でも、作業者たちは責任感を持ち、職務を全うしています。しかし、労働災害は、往々にして責任感から無理をした結果、発生してしまうものです。元請け企業である弊社には、自社の従業員だけでなく、二次・三次の施工会社を含むすべての作業者が安全に働ける環境を提供する責任があります。 「仲間を守り、一緒に仕事をやり切る」という信念のもと、さらなる熱中症対策の強化が始まりました。
熱中症予防に有効な深部体温を推定する
信頼性の高い技術
カナリアの導入を決めた理由を教えてください。
カナリアを選んだ理由は、技術的な信頼性とコストパフォーマンスの高さです。熱中症対策には深部体温の管理が重要ですが、Biodata Bankの特許を調べたところ、安価に深部体温を推定できる技術が確立されていることがわかりました。技術の再現性を確認するため、実際に使用し、その際の熱中症リスクの推移をデータで可視化してもらったこともあります。製品の仕組みがブラックボックスにならず、透明性のあるデータを提供できる点も魅力でした。
また、カナリアは必要最小限の機能に絞ることで、多くの作業者に配布できる価格帯に設定できています。企業ですので予算には制約がありますが、それでもできる限り多くの人を守りたいという思いがあります。市場には多機能で高価な製品も数多くありますが、必要な機能に絞り、誰もが導入しやすい価格を実現したカナリアは、コストパフォーマンスの面で優れていると考えています。
2020年の導入以来、カナリアは酷暑の長期化に対応するため、電池寿命の延長やアラームの聞き逃し防止のためのバイブレーション機能の追加など、着実に進化してきました。現場の声を受け止め、改善を続けるBiodata Bankの姿勢も高く評価しています。
作業者ごとの休憩管理で
安全確保と業務効率の両立に貢献
カナリアを導入してどのような効果がありましたか?
カナリアを使っている作業者には、重篤な熱中症は発生していません。2023年からの装着者と非装着者の熱中症の発症度数を比べたところ、装着者の発症率は1/3程度と、明らかに少ない結果が出ており、定量的な有効性が認められます。
私たちは建設業に携わっており、2024年4月からは時間外労働の上限規制が適用されました。業界全体で人手不足が深刻化している上、酷暑の影響で作業時間も減少しており、安全活動も効率を重視せざるを得ない状況です。そんな中、カナリアはリスクの迫った作業者にだけアラームを発信し、「LEDが赤色に点滅している間は休憩をして、緑色に戻ったら作業復帰」というルールを設けることで、無駄なく休憩を取ることができます。客観的な指標をもとに休憩のタイミングがわかるので、作業者も休憩を申し出やすく、監督者も判断に迷うことがありません。充電不要な点も現場での負担を軽減してくれるので助かっています。
以前は、社長が現場を巡視する際に「WBGT計を携帯しているか」と問いかけていましたが、現在では「カナリアをつけているか」と問われるようになりました。災害報告書にもカナリア着用の有無を記載する欄を設けています。会社としてBiodata Bankに信頼を置いているからこそ、カナリアを用いた熱中症対策を全社的なスタンダードにできています。
気づきを与える定量データの提示で
会社全体の意識を変容
今後について
2025年から労働安全衛生規則が改正され、熱中症対策が一層厳格化されます。WBGT値を元にした作業時間の管理や環境改善を中心に進めていきますが、熱中症への耐性には個人差があるため、ウエアラブルデバイスを併用して活用していく予定です。
データ分析(「見えるんです」)の結果から、カナリアを導入している同業企業と比較して、弊社はアラート発報後に作業者の深部体温が安全域に戻るまでに時間がかかっていることがわかりました。そのため、今年は冷却効果のある休憩環境を積極的に増やす方針を全社的に示しています。このように、定量的なデータに基づいて改善方針を立てられたことは大きな成果だと感じており、社長から現場の作業者まで目線を合わせる上でも役立っています。この取り組みは今後も継続していこうと考えています。
まとめ
もともと業界に先駆けて熱中症対策に取り組み始め、現在も試行錯誤を繰り返しながら日々の業務に取り組んでいるJFEプラントエンジ。常に変化する人や環境などの状況に柔軟に対応する必要がある中で出会ったのが、カナリアを用いた対策でした。経営層から現場まで一丸となって熱中症対策に取り組む姿勢は、今後の酷暑にも立ち向かえる組織としての強さを感じさせます。