001 CNRIA

Interview

暑熱順化されていない社員のリスクも事前に回避
建設技術研究所における「カナリア」の活用事例

Preventing Heat Risks for Unacclimatized Staff:
How CTI Engineering Utilizes "Canaria"

Client:
建設技術研究所株式会社 様
東京本社 技術統括部
部長 大塚 篤生
東京本社 環境部
部長 荒川 豊
東京本社 技術統括部
安全管理マネージャ 長野 紀章
株式会社建設技術研究所 様
事業内容 土木建設事業に関する企画、調査、計画、設計および事業監理等
従業員数 2,410人(2026年4月1日時点)

建設コンサルタントは、河川や道路、ダムといった社会インフラについて、計画・設計から施工前の調査まで、施工以外の幅広い工程を担う業種です。なかでも施工前の現地調査は、本格的な重機や機材が入る前の急斜面や山間部で行われることも多く、肉体的負荷の高い屋外作業を伴います。株式会社建設技術研究所様では、こうした現場での安全対策の一環として、2023年から「カナリア」を導入されています。夏季を通じて常時炎天下で作業を行う業種ではないにもかかわらず、比較的早い段階で導入を決断された背景について、技術統括部の大塚様・長野様、環境部の荒川様にお話を伺いました。

背 景

誰もが熱中症になり得る環境下で、
安全最優先の文化を醸成

熱中症対策に本格的に取り組むようになったきっかけを教えてください。

荒川 様

気候変動により気温が上昇する中でも、屋外で現地調査を行わなければならない現状があり、社員の安全と健康をいかに守るかが急務となっていました。特に夏場の屋外作業における熱中症対策は、組織として不可欠な課題であると考えていました。

労働安全衛生規則改正に対してはどう取り組まれましたか?

大塚 様

今回の法改正では、熱中症の重篤化を防止するため、事業者に対して「異常を早期発見できる体制整備」「対応手順の作成」「関係者への周知」の3つが求められるようになりました。当社では、業務を受注した際に作成する業務計画書へ、熱中症対策に関する標準的な対応方針を記載し、技術部室で内容をチェックする運用を行っています。
ただし、すべての業務計画書について書面だけで指導するには限界があるので、産業医による熱中症対策の講習会を行い、社員の理解促進にも取り組んでいます。
私たちは、人こそが資源だと考えています。経営トップも安全が何より優先されるべきという考えですので、制度を整えるだけでなく実際の行動で示していくことで、安全を最優先とする文化を醸成していきたいと考えています。

荒川 様

カナリアのアラートが発生した際には、直ちに作業を中止して休憩を取るよう周知しており、症状が改善しない場合には救急車を手配するなど、速やかに対応する体制を整えています。
近年の気温上昇を踏まえると、熱中症はいつ誰が発症してもおかしくない状況にあります。重篤化すれば命に関わるだけでなく、業務の継続にも大きな影響を及ぼします。熱中症対策は単なる安全管理ではなく、業務におけるリスク管理や品質管理の一環として位置付けています。一律の対策を形式的に運用するのではなく、業務内容や現場の特性、実施時期に応じて必要な対策を検討しながら、確実に実行できる取り組みを継続することだと考えています。

導入の決め手

暑熱順化されていない人の危険も深部体温で検知

カナリアの導入を決めた理由を教えてください。

荒川 様

カナリア導入以前から、朝礼時の危険予知活動(KY活動)や気象情報の共有、WBGT計を用いた暑熱環境の確認、ファン付きウエアの着用といった対策をしていました。私が所属する環境部のような部署では、デスクワークと現場作業を行き来する働き方が一般的で、直前までオフィスで業務を行っていた社員が真夏の現場に入ることもあります。そのため、十分に暑熱順化ができていない状態で作業を行うことケースも少なくありません。
また、現場は都市部だけでなく、山間部や森林内など多岐にわたります。現地調査では初めて訪れる場所も多く、思うように休憩場所を確保できないこともあります。こうした背景から、一律の対策だけでなく、個人の状態に応じてリスクを把握できる対策が必要だと考えました。
現場では、複雑な運用を伴う対策はなかなか定着しない難しさがありますが、カナリアは装着するだけで利用できるため、作業者にも受け入れられやすかったと感じています。

長野 様

カナリアの導入を決めた2023年以降、軽微な症状ではありますが、熱中症は4件発生しましたが、すべてカナリアを着用していない作業者でした。2023年は試験的な導入でしたが、活用が進むにつれて利用者も増え、東京支社だけでも導入台数は当初の約2倍になりました。2025年には当初まとめて購入した台数だけでは足りなくなり、追加で必要となった分については各部室で購入する運用としています。

導入の効果

アラート発生現場をフィードバックすることで
使用が拡大

カナリアを導入してどのような効果がありましたか?

長野 様

カナリアのアラート発報率は、2024年の14%から2025年は9%となり、5%改善しました。法改正を受けて業務計画書へ熱中症対策方針を明記し、社員への教育を徹底したことで、現場の熱中症対策に対する意識が高まったと感じています。
また、アラートが作動している環境を調べてみると、単に気温が高いだけではなく、湿度が高い場所や、日陰のない直射日光下、運動量の多い作業などでアラートが発生しやすいといった特徴が見えてきました。こうした結果を社内で共有することで、作業者自身の理解も深まり、利用者も年々増えています。

今後の展望

協力会社含め安全意識を底上げし、
最新情報もキャッチアップ

大塚 様

建設コンサルタントの業務は、建設会社やゼネコンのように毎日現場に出て作業を行うわけではないので、安全管理に対する意識の低さや対応の遅さがどうしても拭えません。しかし、私たちが行う現地調査や測量などの業務も工事と同様に安全管理を徹底しなければなりません。
そのため、むやみに対策を増やすというよりも、まずは基本的な取り組みを着実に浸透させ、安全管理の底上げを図ることが重要と考えています。事前のリスクアセスメントや教育の徹底、KY活動を継続的に実施することで、若手社員や、高齢者協力会社を含めた安全管理意識の向上を図っていきたいと考えています。
熱中症対策の製品や技術も日々進歩していますので、情報収集を欠かさず、関係部署が連携しながら従業員の安全に務めていきたいです。

まとめ

建設技術研究所様では、作業者の中には月に1回程度しか現場に出ない人もいるそうです。その一方で、現場に出る機会が少ないからこそ暑熱順化が進みにくく、熱中症リスクが高まる場合もあるといいます。
同社では、こうした建設コンサルタント業界特有の課題に早くから着目し、カナリアを活用した熱中症対策に取り組んできました。安全対策を単なるコストではなく、人と事業を守るための投資として捉える姿勢が、今回の取材を通じて強く印象に残りました。

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