001 CNRIA

Interview

管理者通知システムが個人の安全を守り抜く
西松建設における「通信カナリア」の活用事例

Administrator notification system ensures personal safety
Case study of "Communication Canary" utilization at Nishimatsu Construction

Client:
西松建設株式会社 様
西松建設株式会社
代表取締役社長 細川 雅一
西松建設株式会社 様
事業内容 建設、環境都市開発、不動産
従業員数 2,908人(2025年3月31日時点)

西松建設の土木の歴史は遡ること約150年前、トンネルやダムの建設からはじまります。100年ほど前には建築事業も開始し、現在は、建設業、国際事業、環境都市開発事業を主な柱としています。そのように長い歴史を築いてきた当社は、持続可能な企業経営を体現する上で、従業員の安全を徹底し「通信カナリア」の全社的な導入に踏み切りました。導入に至る上で、どのような経営判断があったのか、代表取締役社長の細川様に詳しく伺いました。

背 景

酷暑環境を当たり前とせず、
できる限りの対策を実施

熱中症対策に本格的に取り組むようになったきっかけを教えてください。

昔は、建設会社でも労働災害が多くありました。しかし、いまは人命を尊重し、安全第一を掲げています。事故が起きなければ、最終的に工程も確保でき、品質が向上し、業績も良くなる。ただし、ここ10年ほどは、地球温暖化の影響で屋外作業が肉体的に過酷になり、熱中症も増えてきています。暑いから熱中症になるのは当たり前ではなく、やれることはあるはずです。弊社では、朝礼の際、ひとり一人が健康チェックをする、クーラーの効いた場所で休憩をとる、塩分やスポーツドリンクを配布する、ファン付きウェアを着るなどの対策をしています。

導入の決め手

個人管理の限界を払拭する管理者への通知

通信カナリアの導入を決めた理由を教えてください。

ありとあらゆる対策を行ってきましたが、個人判断に委ねざるを得ないという点で限界もありました。調子がいいか悪いか、傍目にはわかりませんし、本人が大丈夫と思っていても、危険な場合があります。「通信カナリア」は、不調を感知すると管理者に通知が飛び、第三者的な判断ができるという理由で、導入を進めました。個人管理に客観的な目線を入れたのがポイントです。これにより、個々の判断で頑張り過ぎることを防げます。

熱中症対策への投資にどのような価値やリターンを期待されていますか。

自社だけで考えると、熱中症にならなかったときの生産性は測りづらいです。ただ、今後は規模が増えていくと踏んでいます。西松だけでなく、業界全体に広まれば、生産性が上がります。すると、生産性の向上に見合った出資や投資は増えてくるはずです。そこには、毎年熱中症に悩まされている社会に対しての貢献という意味もあります。安全第一のための費用が、課題に対して戻ってくる経済の循環です。社会価値、企業価値、両方を満足させるところに、西松のベクトルがあります。

熱中症対策をどのように経営戦略と結びつけていますか。

持続的な成長と、中長期的な企業価値を創出する「サステナビリティ経営」が弊社の基本理念です。その中心に「人は資源ではなく、資産である」という人的資本経営があります。個人の価値を最大限に向上させ、スキルアップした人が活躍することによって、企業価値はさらに高まるという循環です。もう1つがウェルビーイング経営。社員ひとり一人が会社にいて幸せを享受できる経営です。この2つが高まると、生産性が上がると言われている。モチベーションも上がるし、能力も上がる。幸福度も上がることで、結果的にエンゲージメントが上がっていきます。エンゲージメントとは、会社と社員との絆の太さのことです。これを太くすることによって、お互いがお互いに寄り沿いながら活躍していく。社員に熱中症被害が及ぶのは、この考えに反するので安全策を徹底しています。

導入の効果

幸せに働ける環境を保証することで
選ばれる会社へ

通信カナリアを導入することで採用活動などには、
どのような効果があるとお考えですか。

エンゲージメントが高まると、生産性が上がる。生産性が上がると、一人頭の利益が上がる。すると、顧客エンゲージメント、お客様から西松に対する結びつきも強くなる。業績が上がることで、株主エンゲージメントも高まっていきます。個々人がポテンシャルを最大限に発揮し、利益が上がると、社員にも還元できるわけです。すると、社員がもう一段高いエンゲージメントを持つようになる。それがどんどん大きな輪になる。このサイクルを西松では「エンゲージメントの発展的連鎖」と位置づけている。このサイクルが進めば、評価される会社、選ばれる会社になります。お客様や株主からだけでなく、将来の入職者からも選ばれる会社になる。社員の待遇に還していくことの1つにカナリアも含まれています。

今後の展望

フィジカルAIや無人化を視野に
更なる安全性を追求

今後、フィジカルAIが実用化されたら、一歩でも二歩でも先陣を切っていきたいです。2030年までには、山岳トンネルの無人化施工も実現しようとしています。危険予知についてもカナリアのようにシステマチックなものを入れて、危険が検知されると周囲の人間にスッと伝わる体制を整えたいです。そうすると安全に対して、いまとは全然違ったレベル感で、進んでいくのではないか。それを目指したいと思っています。

まとめ

「人は資産」という血の通った想いが、通常モデルよりも一段高い水準で安全対策を仕組み化できる「通信カナリア」の導入という経営判断につながりました。150年以上続く西松建設の歩みをつくるのは、社員の幸せを第一に、社会全体の幸福をも追求する、トップの志と視座の高さによるものなのかもしれません。

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