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熱中症対策において、最も重要なのが「体を冷やす」という行為です。
しかし、一口に冷やすといっても、氷水浴、首の冷却、アイシングなど、さまざまな方法があります。
それぞれの冷却方法には明確な効果の違いがあり、状況に応じて使い分けることが重要です。
本記事では、熱中症の冷却テクニックについて、各方法の効果を比較します。
どの方法が最も効果的なのか、どのような場面でどの冷却法を選ぶべきか、実践的な知識を身につけましょう。
熱中症を理解する上で欠かせないのが「深部体温」という概念です。
深部体温とは、脳や臓器など体の中心部の温度を指します。
私たちが脇の下や口の中で測る体温とは異なり、深部体温は外気温の影響を受けにくく、通常は37℃前後に保たれています。
この温度が、体内で生命維持や生存活動のための内臓の働きを最も活発にさせる温度だからです。
健康な状態では、深部体温は皮膚温よりも0.5℃から1℃ほど高く維持されています。
出典:熱中症ゼロへ(日本気象協会推進) https://www.netsuzero.jp/learning/le17
熱中症は、高温多湿な環境や激しい運動などによりこの深部体温が上昇し、その熱をうまく外に逃がすことができずに生じるさまざまな症状の総称です。
意識がもうろうとしたり、頭痛・吐き気・倦怠感が出たりするときは、深部体温の上昇により脳や内臓に影響が出ている可能性があります。
熱中症対応において、初期対応で最も重要なのは「迅速な体温低下」です。
医療現場では、深部体温を38℃まで冷却することを目標としています。
冷やしすぎ(過冷却)を防ぐための目標値でもあります。
出典:日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」 https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf
熱中症が重症化すると、40℃を超える高体温が見られることがあり、これは熱射病と呼ばれる重症度Ⅲの状態です。
体温より気温が高い場合には、汗を出して気化することで体温を平常に保ちますが、大量の汗をかき体内の水分が失われると、それ以上汗をかくことができず、体温が危険なレベルまで上がっていきます。
出典:熱中症ゼロへ(日本気象協会推進) https://www.netsuzero.jp/learning/le01/case05-01
熱中症による高体温は、体温調節機能が失われているため、生命危機的ラインとされる42℃を超える高熱につながることもあります。
そのため、できるだけ早く、できるだけ効果的な方法で体温を下げることが求められます。
人間の体は、熱を産み出す働き(産熱)と体から熱を逃がす働き(放熱)のバランスで体温を調節しています。
通常は、皮膚からの熱放散や発汗による気化熱で体温をコントロールできます。
しかし、気温が体温より高くなったり、湿度が75%以上になると、汗をかいても流れ落ちるばかりで蒸発が不十分となり、発汗による体温調節ができなくなってしまいます。
さらに、体温が上昇し発汗により体の水分量が極端に減少すると、心臓や脳を守るために血管が収縮し始め、その結果、発汗量が抑えられ熱放散が困難になっていきます。
熱中症は、このように体温を調節する機能がコントロールを失い、体温が上昇してしまう機能障害といえます。
出典:愛知県薬剤師会 薬事情報センター https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3743.html
現場での身体冷却法としては、氷水に全身を浸して冷却する方法「氷水浴/冷水浴法」が最も効果的とされています。
これは科学的な研究でも裏付けられており、19の研究を統合したメタ分析では、冷水浴が運動後の高体温症(特に熱中症リスク)に対して非常に効果的であることが確認されています。
出典:日本スポーツ協会 https://www.japan-sports.or.jp/medicine/tabid/916/Default.aspx
出典:水風呂・チラードットコム(研究紹介) https://mizuburo-chiller.com/column/references/cold-water-heatstroke/
マラソンレースの救護所などでバスタブが準備でき、医療スタッフが対応可能な場合には、氷水浴法が推奨されます。
広範囲を同時に冷やすことができるため、風や冷却タオルによる冷却よりもはるかに迅速に体温を下げることができます。
特に冷却すべきなのは、首・わきの下・太ももの付け根といった太い血管が通る部位ですが、氷水浴であればこれらの部位を同時に冷やすことができ、短時間で効率よく体を冷却できます。
氷水浴の最適な条件について、研究では10℃前後の冷水に全身を10分間程度浸す方法が、最も効果的な体温低下手法であると結論づけられています。
ただし、これは深部体温を直腸などで測りながら、医師など専門家の管理下で行う治療としての方法です。
出典:水風呂・チラードットコム(研究紹介) https://mizuburo-chiller.com/column/references/cold-water-heatstroke/
医療スタッフの管理下にない場面で全身を冷水に浸す場合は、13℃前後を目安にしましょう。
水温が10℃を下回ると毛穴が閉じ、かえって熱の発散を抑えてしまうおそれがあるためです。
スポーツ現場では、バケツやホースで水をかけてあげる方法も取り入れられています。
ただし、すでに熱中症の症状が出ている場合に、いきなり10℃以下の冷水に入れるのは危険です。
体に強いストレスがかかり、血圧や心拍に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
まずは35℃前後のぬるま湯から始めて徐々に冷やす方法が推奨されます。
入水は足先からゆっくりと、徐々に冷たさに慣らすことが大切です。
急激な冷却で上がった血圧や心拍数を落ち着かせるため、しばらく静かに過ごすことも重要です。
出典:水風呂・チラードットコム https://mizuburo-chiller.com/column/cold-bath/heat-stroke/
学校や一般のスポーツ現場では、氷水浴の設備を準備できないことも多いでしょう。
そのような場合、水道につないだホースで全身に水をかけ続ける「水道水散布法」が、次に推奨されます。
それも困難な場合や学校現場などでは、エアコン(最強で)の利いた保健室に収容し、氷水の洗面器やバケツで濡らしたタオルをたくさん用意し、全身にのせて次々に取り換える「ローテーションアイスタオル法」が有効です。
扇風機も併用することで、冷却効果が高まります。
緊急時に特別な設備がなくてもできる応急処置として、ぜひ覚えておいてください。
出典:日本スポーツ協会 https://www.japan-sports.or.jp/medicine/tabid/916/Default.aspx
首を冷やすことが熱中症対策として広く知られているのは、首に太い血管が通っているためです。
首には血液を循環させる頸動脈と頸静脈という2つの太い血管があり、さらに脈が計れるほど皮膚が薄いので血管を冷やしやすい場所です。
ここを冷やすことで、冷えた血液が体をめぐって涼しく感じることができます。
体表近くを太い静脈が流れている場所であるため、皮膚を通して静脈血を冷やしてあげると、大量の冷えた血液が体内に戻り、効果的に体内を冷やすことができるのです。
出典:ウェザーニュース https://weathernews.jp/s/topics/202208/120245/
三大局所冷却と呼ばれる場所の一つが、この前頸部の両脇(首の前面の左右)です。
ここに保冷剤や氷嚢などを押し当てて冷やすことが、基本的な熱中症対策となります。
一言に「首」といっても、どこでも良いわけではありません。
効率的に体を冷やすには「喉の左右にある、脈を感じる部分(頸動脈)」を冷やすことが重要です。
首の後ろのうなじ辺りを冷やす方もいますが、頸動脈を冷やすことで体内に冷たい血液が循環するため、体全体を効率的に冷やしたいのであれば脈が触れる部分を冷やすことをおすすめします。
首の後ろ(髪の生え際部分)は冷やしてもほとんど効果がありません。
出典:アイチケット広場 https://park-sc.paa.jp/park2/dc/014/chapter2-02/
そっと触れると、頸動脈の脈が触れる部分が冷やすポイントです。
動脈の走る部分を冷やすと血液が冷え、冷えた血液が全身を回るため体温を下げることができます。
ただし、首冷却には注意すべき点もあります。
頸動脈は深いところにあり、冷却するのに時間がかかることです。
また、冷えすぎると交感神経が優位になり、筋肉が拘縮してしまう可能性があります。
熱中症を防ぐことはできても、体の動きがぎこちなくなり、スポーツのパフォーマンスが低下してしまうこともあるのです。
出典:ゴルフのニュース https://egolf.jp/life/58489/
さらに、首を冷やしすぎると血行が悪くなり、首や肩まわりの筋肉が緊張するため、肩こりや首こりが起こりやすくなります。
自律神経の乱れや緊張型頭痛につながることもあるため、冷やしすぎには十分注意が必要です。
日常的な予防や軽度の暑さ対策には、ネッククーラーが便利です。
首に直接装着して首を冷やすことで涼感を得るグッズで、大きく分けて、電気の力で冷たいプレートを肌に当てる「電動タイプ」、水で濡らして気化熱で冷やす「タオルタイプ」、水に浸すだけで凍結し結露しにくい「PCM素材タイプ」の3種類があります。
コットン生地を使用しているものは肌に優しく、長時間の使用にも適しています。
市販のものに比べて持続時間や冷却性能も高い製品があり、暑熱環境下での使用にも最適です。
建設業や農業、配達業といった炎天下で長時間作業をする人にとって、ネッククーラーは熱中症のリスクだけでなく、身体的な疲労を軽減するために有効なアイテムといえます。
ただし、首の冷やしすぎは自律神経のバランスの乱れにつながります。
保冷剤などを使う場合は直接肌に当てず、長時間同じ箇所に当てないようにしましょう。
出典:興和株式会社 https://www.happiness-direct.com/shop/pg/1h-vol069/
熱中症の応急処置として、アイシング(局所冷却)は広く知られています。
最も基本的な場所として、「三大局所冷却」と呼ばれる場所があります。
(1)前頸部の両脇(首の前面の左右) (2)腋窩部(両脇の下) (3)鼠径部(脚の付け根の前面)
これらの部位は、いずれも太い血管が体表近くを通っています。
体全体を流れる血液を冷やすことが、解熱に一番効果的だからです。
出典:ウェザーニュース https://weathernews.jp/s/topics/202208/120245/
わきの下から腕にかけて太い血管が通っているため、わきの下を冷やすのが難しい場合は、わきに近い上腕の内側を冷やしてもよいでしょう。
太もものつけねも、体温計を挟む部位(上腕の内側でもよい)を冷やすことで効果があります。
アイシングを行う際には、必ず表面を水で流した氷を使います。
冷凍庫から出した氷をそのまま使うと、表面に付いている霜が凍傷の原因になるためです。
また、保冷剤やコールドスプレーを直接肌に当て続けると、凍傷の原因になります。
ビニール袋に氷をいれ、ビニール袋の空気を抜き取り患部にフィットさせるようにします。
アイスパックは0℃以下に冷やされていることがあるため、凍傷を防ぐ目的で患部との間に薄いタオルなどを挟むことをお勧めします。
出典:日本臨床整形外科学会 https://jcoa.gr.jp/健康相談/楽しくスポーツを続けるために/役立つスポーツ医学の知識/アイシング/
アイシングを行うと感覚的に次第に「痛い→暖かい→ピリピリする→感覚がなくなる」という過程をたどります。
この感覚がなくなった時点で氷袋を患部からはずし、いったんアイシングを終了します。
時間的には15〜20分以内です。
アイシングで効果を出すためには、タイミングが重要です。
特に夏場の練習や試合後にアイシングを行うなら、早めにしましょう。
運動後4時間以降に行うアイシングでは、筋肉痛や疲労感を和らげる効果は乏しくなります。
運動で上がった体温を冷やすことがアイシングの目的の一つだからです。
出典:青木整形外科 https://aoki-ortho.com/2022/01/27/vol-3-日々のケアとしてのアイシング/
なお、この「運動後4時間以内」は、筋肉痛や疲労回復を目的としたアイシングの目安です。
熱中症の応急処置として体を冷やす場合は、時間を問わず、できるだけ早く冷却することが最優先です。
高温多湿な環境での運動は、熱中症のリスクを高めます。
アイシングで体の表面温度を下げると、熱中症の予防や応急処置になります。
特に、炎天下で運動後や、体が熱いと感じたら、すぐに体を冷やしましょう。
アイシングは応急処置として非常に有効ですが、全身を冷却するという点では限界があります。
局所を冷やすことで一時的に体温を下げることはできますが、氷水浴のような全身冷却と比較すると、深部体温を下げる効果は限定的です。
そのため、アイシングは氷水浴が困難な場合の次善の策として位置づけられます。
軽度から中等度の熱中症症状には効果的ですが、重度の熱中症(熱射病)の場合は、より強力な冷却方法が必要になります。
ただし、予防や軽度の症状に対しては、アイシングは手軽で効果的な方法です。
複数箇所を同時に冷やし、扇風機を併用することで、冷却効果を高めることができます。
近年、スポーツ医学の分野で注目されているのが、手のひらや足裏の冷却です。
手のひらや足の裏、頬には、動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう/AVA)と呼ばれる動脈と静脈を結ぶ血管の部位があります。
この動静脈吻合は毛細血管に比べて直径が10倍と太く、血流量は約1万倍と多いため、ここを冷やすと大量の冷えた血液が体内に戻り、深部体温を効率良く冷却できます。
出典:DESCENTE https://www.descente.co.jp/media/editors_picks/feature/21103/
動静脈吻合は、快適な温度より暑ければ血管を開き、寒ければ血管を閉じることで、深部体温をコントロールしています。
普段閉じていて、暑くなると開いて体温を下げる働きがある特殊な血管なのです。
手のひら冷却(手掌冷却)の具体的な方法は非常にシンプルです。
バケツなどに水をはり、氷で10〜15℃程度に調整します。
冷やしすぎると効果が見込めないため、「冷たすぎない」ことがポイントです。
冷たい水に急に手を入れると、一時的に全身の血管が収縮することもあるため注意しましょう。
両手のひらを5〜10分ほど浸け続けるのが目安です。
運動時や運動後、暑さを感じる帰宅後などに、手のひら(可能であれば肘まで)を水に浸けるなどして冷やし、深部体温を下げることが、熱中症の予防・対策につながります。
出典:日本気象協会 熱中症ゼロへ https://www.netsuzero.jp/learning/le17
アイスノンなど繰り返し使えるものも便利です。
屋外であれば、冷たい飲み物のボトルを持つことも良いでしょう。
手軽に実施できることが、手のひら冷却の大きなメリットです。
実は今、スポーツ医学の知識を有する指導者は、手のひらを冷却することによって上昇した体内深部温を下げ、より良いパフォーマンスをするための暑熱対策をさまざまな競技のアスリートにアドバイスしています。
手のひらは道具が少なくても簡単に冷やせるうえ、動静脈吻合という特殊な血管を通じて体の熱を逃がしやすい部位です。
出典:ゴルフのニュース https://egolf.jp/life/58489/
ただし、科学的な根拠(エビデンス)の強さでは、首・脇の下・脚の付け根の三大局所冷却や氷水浴のほうが上位に位置づけられます。
手のひら冷却による深部体温の変化は、人を対象に精密に測定したデータがまだ十分ではなく、理論の段階にあるためです。
首や脇の冷却に代わるものではなく、手軽に取り入れられる補助的な冷却手段として活用しましょう。
足裏(足底)にも手のひらと同様に動静脈吻合があり、くるぶしから下くらいの足を冷やす「足底冷却」でも深部体温を下げる効果が見込めます。
足裏冷却ジェル袋などのアイテムも市販されており、保冷剤(アイスパック)を入れて脚に付けることで足裏を冷やすことができます。
運動後に付けるととても気持ち良く、脚全体の筋温が下がる感覚があり、翌日の疲労感も何もしないときと比べて随分軽くなります。
ただし、運動や作業の最中に靴を脱いで足の裏を冷やすのは現実的ではありません。
休憩中や運動後に限られるなど、実用性の面では課題があるといえます。
熱中症対策とパフォーマンス維持のための内部冷却の方法として、スポーツ界で注目されているのが「アイススラリー」です。
アイススラリーとは、液体に微細な氷の粒が混じったシャーベット状の飲み物で、冷蔵庫から出した飲み物が4℃くらいなのと比べて、マイナス1℃と低温です。
細かい氷の粒に液体が混じった流動性のある飲み物のため、体に浸透しやすく、効率よく内側から体を冷やせるという特徴があります。
出典:大正製薬 大正健康ナビ https://www.taisho-kenko.com/column/50/
私たちの体は、「深部体温」が約37℃になるよう調節されています。
通常は37℃くらいに調節されている深部体温ですが、運動中は少し高い38℃くらいがパフォーマンスを発揮しやすい適温とされています。
しかし、38℃を超えて39℃、40℃ともなるとエネルギーの消耗が激しくなり、パフォーマンスの低下を招いたり、熱中症になりやすくなってしまいます。
アイススラリーの優れた点は、冷却効果だけでなく、水分補給も同時に行えることです。
スポーツ飲料などで作ったアイススラリーは、冷却効果に加え、糖質や塩分、ビタミンなどの補給も同時に行うことができます。
手軽に飲めることもあり、アイススラリーは運動前や運動後、さらには試合中のハーフタイムなどあらゆるシーンで活用できる冷却方法といえるでしょう。
外部冷却(アイスパックなどを皮膚に当てて体の外側から冷やす方法)と内部冷却(冷たい飲み物などを摂ることにより体の内側から冷やす方法)を組み合わせることが、効率よく体を冷やすポイントです。
首に濡れタオルを巻いて水分を取りながらウォーキングをするなど、組み合わせて実施しましょう。
出典:大正製薬 大正健康ナビ https://www.taisho-kenko.com/column/50/
ただし、マイナス1℃の冷たい飲み物なので、一度に大量に摂ると逆効果になってしまうこともあります。
水分摂取と同じで、人によって適量や適温は異なります。
胃腸が弱い人が冷たいアイススラリーを一度に大量に摂ると、胃腸に負担がかかってしまいます。
また、人間の体には深部体温を一定に保とうとするホメオスタシス(生体恒常性)が備わっているので、体温が下がり過ぎると、今度は体温を上げようとします。
いずれにしても、アイススラリーを一度に大量に飲むのは控えたほうがよいでしょう。
こまめに適量を摂取することが、効果的な活用法です。
アイススラリーの作り方は比較的簡単です。
水や薄めのスポーツドリンクを製氷し、微細に砕いてシャーベットと液体分が混ざり合うような状態にします。
市販のアイススラリー製品も存在しますが、自宅で作ることも可能です。
ミキサーやブレンダーを使って氷を細かく砕き、液体と混ぜ合わせることで、手軽にアイススラリーを作ることができます。
体が暑さに慣れていない時期は熱中症のリスクが高まるため、早い段階からアイススラリーの摂取に慣れていくことも推奨されています。
出典:日本高等学校野球連盟 https://www.jhbf.or.jp/heatillness/
各冷却方法を効果の高い順に整理すると、以下のようになります。
氷水浴が圧倒的に効果が高いことは、複数の研究で実証されています。
全身を冷水に浸すことで、広範囲を同時に冷やすことができ、深部体温を最も迅速に下げることができます。
次に効果的なのが水道水散布法で、設備が整わない現場でも実施しやすい方法です。
ローテーションアイスタオル法は、さらに簡易的な方法ですが、継続的に実施することで一定の効果が期待できます。
三大局所冷却は、単独では全身冷却に及びませんが、氷水浴や水道水散布などと組み合わせて追加的に冷やすことで効果が高まります。
手のひら・足裏冷却は手軽さが利点ですが、効果を精密に測定したデータがまだ十分ではないため、予防や軽い暑さ対策の補助として位置づけるのが適切です。
出典:日本スポーツ協会 https://www.japan-sports.or.jp/medicine/tabid/916/Default.aspx
実際の現場では、熱中症の重症度や状況に応じて冷却方法を使い分けることが重要です。
重度の熱中症(熱射病)の場合: 氷水浴が最優先です。
意識障害や40℃を超える高体温が見られる場合は、一刻も早く全身を冷却する必要があります。
救急車を呼ぶと同時に、可能な限り氷水浴を実施します。
屋外スポーツ現場の場合: 手のひら冷却とアイススラリーの組み合わせが効果的です。
設備が限られる環境でも実施しやすく、予防から軽度の症状まで幅広く対応できます。
日常的な予防の場合: 首冷却(ネッククーラー)とこまめな水分補給が現実的です。
長時間の屋外作業時や通勤時など、日常生活に取り入れやすい方法です。
応急処置の場合: 複数の局所冷却(首・脇・鼠径部)を組み合わせ、扇風機を併用します。
氷水浴の設備がない場合でも、迅速に対応できる方法です。
最も効果的なのは、外部冷却と内部冷却を組み合わせることです。
例えば、手のひらを冷水に浸しながらアイススラリーを飲む、首にネッククーラーを装着しながら冷たい飲み物を摂取するなど、複数の方法を同時に実施することで、相乗効果が期待できます。
スポーツ選手は試合前にアイスバスに浸かったり、アイスパックを用いて体温を下げることに加え、冷たい飲み物で水分補給を意識して行っています。
このように、複数の冷却方法を組み合わせることが、熱中症予防とパフォーマンス維持の鍵となります。
出典:大正製薬 大正健康ナビ https://www.taisho-kenko.com/column/50/
手のひら冷却と首冷却など複数箇所の同時冷却も有効です。
状況に応じて実施可能な方法を選択し、可能であれば複数の方法を組み合わせることで、より高い冷却効果を得ることができます。
熱中症対策において、最も重要なのは「迅速な体温低下」です。
深部体温を38℃まで冷却することを目標とし、可能な限り効果的な方法を選択することが求められます。
氷水浴が最も効果的な冷却方法であることは、科学的に実証されています。
マラソンレースの救護所やスポーツ現場で設備が整っている場合は、迷わず氷水浴を選択しましょう。
設備が整わない場合でも、水道水散布法、ローテーションアイスタオル法、三大局所冷却など、状況に応じた代替手段が存在します。
重要なのは、「何もしない」ことを避け、できる範囲で最も効果的な冷却を迅速に実施することです。
熱中症は予防が最も重要です。
日常的に冷却を習慣化することで、熱中症のリスクを大幅に減らすことができます。
手のひら冷却は、運動時や運動後、暑さを感じる帰宅後などに簡単に実施できる方法です。
冷たすぎない水(10〜15℃程度)に5〜10分ほど手を浸すだけで、手軽に取り入れられます。
アイススラリーも、日常的に取り入れやすい冷却方法です。
運動前や運動後、暑い日の外出前などに摂取することで、深部体温の上昇を抑えることができます。
ネッククーラーなどのグッズを活用することも有効です。
炎天下での長時間作業が必要な場合は、こうしたアイテムを積極的に取り入れましょう。
最後に忘れてはならないのが、「暑熱順化(しょねつじゅんか)」です。
暑熱順化とは、日常的に湯船やサウナで汗をかくなど、体を暑さに慣らす習慣づくりです。
暑さに慣れていない人は熱中症になりやすいため、注意が必要です。
暑さに慣れる(暑熱順化)には、個人差もありますが、数日から2週間程度かかります。
それまでは、汗を上手くかくことができず、体温が上がりやすいので注意が必要です。
出典:日本気象協会 熱中症ゼロへ https://www.netsuzero.jp/learning/le12
体が暑さに慣れていない時期は熱中症のリスクが高まるため、体を暑さに慣らしていく期間は、一時的に練習量を減らすなど、いっそうの注意を払いながら、徐々に体を暑さに慣らしていきましょう。
こうした準備が、熱中症に強い体づくりにつながります。
冷却テクニックの知識と合わせて、日頃からの体づくりも意識していきましょう。
